Desktop Dungeons

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「10minute-Roguelike」と銘打つダンジョンハックゲーム。まあすぐ死ぬから10分なんでしょう、と

全く期待せずにやったらこれが滅法面白い。ちゃんとうまくやればクリアできる絶妙な難易度と、クリアするごとにアンロックされる新ルールや新クラスも面白く、ついつい時間を忘れてやりこんでしまう。

ローグライクと銘打ってはいるが、ランダムな要素は初期配置以外殆ど廃されており、その実パズルゲームに近いだろう。どの段階でどの敵を倒してレベルアップし、次に……とアブストラクトに展開を手として読んでいける。敵もこちらが攻撃しない限り戦闘にならず、移動もしない。自キャラが回復すると敵も回復するので、チマチマ与えて倒すという手法が取れないあたりもパズル的ゲームを成立させる要素として重要。

自キャラの回復がローグライク的に歩くことなのだが、未開の地を開拓しなければ回復できない。これはイコール未開の地はリソースであり、これをうまく使って「あえて探索しない」などの手法をとらないとクリアは覚束ない。このあたりはチュートリアルに丁寧に説明されているので、最初でも安心だ。

現在、全4クラスの上級職を1段階アンロックし、さらに2キャラの上々級職をプレイしているところ。ここまでくると本当に難しく、アイテム等の運も絡んでくる。ここに来てようやくローグライク的な展開になったともいえる。

フリーの名作1次元ローグライク「雪道」を彷彿とする、数字をやりくりするのが面白い傑作。雪道を好きな人は是非プレイして欲しい。時間を忘れてハマること請け合いだ。

 

ChromeのアドレスバーからGreplinを検索する

個人用の各種サービス横断検索Greplinが非常に便利で驚いた。
GoogleDoc、Gmail、Dropbox、Twitterなどを含む各種サービスを、十分に実用に耐える速度で一気に検索できる。日本語にも対応している。

これは手放せなくなる、と思い、早速オフィシャルが提供しているChrome拡張をインストールしてみたが、微妙に使いづらい。クリックが必要なあたりがテンポを削いでいる感じがするのだ。
Chromeには検索エンジンをキーワードで指定できる機能がデフォルトである。これに設定してみたところ満足に動作したので、簡単に過程を記しておく。(バージョンは11.0.696.44 beta)

アドレスバー(検索も兼ねているのでOmnibarというらしいが)を右クリック>検索エンジンの編集
現在登録されている検索エンジンが表示されるので、一番下の新しい検索エンジンの部分に適宜分かりやすい名前を入力。キーワード部分はここでは「gl」とした。
最後のアドレス部分に「https://www.greplin.com/#q=%s」を入力。

 

Media_httpwiredlynxne_rebxy

 

以上の設定をした上で、アドレスバーに「gl スペース 検索語」と入力すれば、直接Greplinで自分用の各種データを横断検索することができる。

 

TRPG「シノビガミ」で逆アセンブルする「魔法少女まどか☆マギカ」

先日sawame_ja氏と話をしていた時に「マギカはTRPGではよくある光景っぽい」といった話をされ、「それだ!」と開眼、そこから発展して妄想した内容を書き連ねた。
「魔法少女まどか☆マギカ」に関する完全なネタバレを含んでいるので、視聴していない方が以下を読む際には注意されたい。是非本編を見てから読むことをお勧めする。

一般的な言葉と混同しやすいゲームのルール単語にはなるべく『』を付けて表記している。シノビガミを知らない方は「そういったルールがある」程度に認識してもらえれば問題ないはずだ。

 

・発端(あるいはメタゲーム)

GMがTRPG「シノビガミ」でのキャンペーンセッションを立ち上げる。プレイヤを募るも、キャンペーンに追従して継続的に都合が合いそうなプレイヤは3名のみ。事前に特殊な世界観でのキャンペーンであることを説明し、あらかじめキャラクタを作成しておいてもらう。
ここでGMは第一セッションでの「仕込み」を思いつき、もう一人のプレイヤに声を掛ける。
集まった4名のプレイヤを便宜上

PC1 桃(鹿目まどか)
PC2 紫(暁美ほむら)
PC3 青(美樹さやか)
PC4 黄(巴マミ)
とする。

・第一セッション

ハンドアウトが配られた後のGMの第一声は
「全ての魔法少女は、忍者相当である」だったはずだ。

なお、このキャンペーンの特殊ルールとして
「『忍法』相当の魔法はNPCキュウべえとの契約前には使用できない」
が提示される。同時にPC2暁美ほむらとPC4巴マミは契約済であることも提示。

『導入フェイズ』(本編第一話相当)

『マスターシーン』
鹿目まどかの夢のシーン。
開始から不穏な冒頭が表現される。登場PCはほむら、まどか、NPCのキュウべえ。
ここで既に『秘密』を持つ重要NPCであるキュウべえの描写がなされる。NPCキュウべえの『使命』は「魔法少女を増やし、魔女を駆逐すること」である。
加えてボスとして『プライズ』である「グリフシード」を持つNPC「魔女」が登場することも提示される。NPC魔女の『使命』は「一般人を巻き込み、眷属を増やす」である。

続いて日常。

PC1鹿目まどかシーン。登場指定はPC3美樹さやか。
学園での平和な日常を描写。
PC1『使命』は「日常を失ってはならない。魔法少女にならないこと」

PC2暁美ほむらシーン。登場指定はPC1鹿目まどか。
謎多き転校生として登場。まどかに対する関係も描写。
PC2『使命』は「PC1鹿目まどかを助け、『クライマックスフェイズ』で『脱落』させないこと」

PC3美樹さやかシーン。登場指定はPC1鹿目まどか。エキストラ志筑仁美。
日常を描写。PC1鹿目まどかとPC2暁美ほむらの関係性の再確認。夢での情報を共有。
PC3『使命』は「日常を失ってはならない。魔法少女にならないこと」

PC4巴マミシーン。登場指定は他PC全員。
急展開前の描写として、PC1鹿目まどか及びPC2美樹さやかがNPCキュウべえと邂逅するシーン。
PC2暁美ほむらのキュウべえに対する攻撃に、他プレイヤが驚く。
(この攻撃はおそらくフレーバー戦闘で、ルール的処理はなかったものと思われる)
他プレイヤ「え、本当に攻撃してるの?」
紫「いや、そうするしかないから」
といった会話から、PC2暁美ほむらの『秘密』に関係しそうだという空気に。
現役魔法少女としての戦闘を他PCに公開するPC4巴マミ。(この戦闘もおそらくフレーバー)
同じく現役魔法少女であるPC2暁美ほむらとの確執を見せ、キュウべえを助けてシーンを閉じる。
PC4『使命』は「他PCを助け、魔女を自分の手で排除する」
(ルール的補足として「『クライマックスフェイズ』で自分の与えたダメージで魔女を『脱落』させる」といった指定があった可能性が高い)

桃「これクライマックスどうやって勝つの?」
青「回避はできるけどクライマックス脱落は確定か。どうやって活躍しよう」
紫「イニシアチブ遠くから『感情修正』撃ちまくる砲台になればおk」
一同「なるほど」
紫「まあそれでも負けそうになったら契約で」

『メインフェイズ』第一サイクル(本編第二話相当)

PC1鹿目まどかシーン。登場指定はPC3美樹さやか、PC4巴マミ。NPCキュウべえ。
『導入フェイズ』の流れを受けて、その後の魔法少女の解説や情報交換をするための『ドラマシーン』を進行。PC3巴マミ宅でのお茶。(1巻シーン表で6「優しい時間」を振ったと思われる)
PC1鹿目まどかは、各員が『感情』を獲得しておいたほうがいいと判断。PC3美樹さやかとの『感情』を獲得する。(おそらくPC1→PC3『憧憬』PC3→PC1『友情』だろう)

PC3美樹さやかシーン。直前のシーンの流れを受けて、そのままの登場指定。
PC3美樹さやかには(PC1鹿目まどかと同じく)まだ戦闘能力がないこともあり、必然的に『ドラマシーン』に。
PC1鹿目まどかと同じ判断から、PC4巴マミとの『感情』を獲得。(PC3→PC4『憧憬』PC4→PC3『共感』と思われる)

PC4巴マミシーン。直前のシーンと同じくそのままの登場指定。
直前の判定を鑑みて、プレイヤレベルの相談。PC3美樹さやかが自身を戦力外であることをほのめかしている会話から、PC4巴マミはPC3美樹さやかの『秘密』の獲得を選択する。PC3美樹さやかの『秘密』は
「あなたは入院中のバイオリニストである上條恭介(エキストラ)に恋をしている。魔法少女になってでも彼を助けたいと考えている」
であった。PC4巴マミは、『使命』ではない以上、この『秘密』にはルール的強制力がほとんどないと考え、PC3美樹さやかとの共闘が可能だと確信する。

PC2暁美ほむらシーン。登場指定は他PC全員。
学園屋上での対話のための『ドラマシーン』
PC1鹿目まどかに対する警告を発するPC2暁美ほむら。PC4巴マミは牽制のために一人離れた場所に登場し、見守る宣言。PC2暁美ほむらは、のちの『使命』達成の補助とするべくPC1鹿目まどかとの『感情』を獲得する。(PC2→PC1『共感』PC1→PC2『不信』であろう)

『メインフェイズ』第二サイクル(本編第二話相当)

『マスターシーン』
ふらふらと歩いてビルの屋上から飛び降りようとする女性の姿が描写される。

PC1鹿目まどかシーン。登場指定はPC3美樹さやか、PC4巴マミ。
ファストフードでの合流から、実際の敵である魔女捜索への実地見学までの描写。
PC4巴マミが、自分たちを魔法少女に勧誘しているような挙動をしている。これに裏があるかどうかを確かめるため、PC1鹿目まどかはPC4巴マミの『秘密』を獲得することを選択。PC4巴マミの『秘密』は
「あなたは一人で闘い続けることに恐怖している。あなたには【自分の志を後輩の魔法少女に伝え、自身の恐怖を取り除くこと】というもう一つの『使命』がある。両方を満たさない限り使命達成とみなさない」
であった。この秘密はPC1鹿目まどかと感情を持っているPC2暁美ほむらとPC3美樹さやかにも『情報共有』され、公開情報となった。
場は騒然とする。PC2暁美ほむらは既に魔法少女であり、この『秘密』の条件を満たせるPC1鹿目まどかとPC3美樹さやかはどちらも『使命』が「魔法少女にならないこと」である。シナリオの段階で両立しない。GMの思惑に不穏なものを感じつつ、プレイヤ桃と青はPC4巴マミに対するPC間戦闘があるかもしれないと思いはじめる。

PC3美樹さやかシーン。直前のシーンを受けて、登場指定は同じPC。
ここでPC美樹さやかは『情報共有』を利用するべく、魔女の『居所』を獲得する事を選択。GMに許可を求め、NPC魔女がシーンに登場。第二サイクル冒頭のマスターシーンで自殺しようとしていた女性を助け、魔女の仕業であることを確認した。
この『居所』は『情報共有』によってPC1鹿目まどかとPC4巴マミにも同時に獲得され、続くPC4巴マミシーンに即座に戦闘に入れる。PC間戦闘があるかもしれないことを受け、先に早めに魔女の戦力を削いでおきたい思惑もあっただろう。

PC4巴マミシーン。直前のシーンから登場指定は同じPC。加えてNPC魔女。
直前のPC3美樹さやかの行動を受けて、得られた魔女の『居所』を利用し『戦闘シーン』を開始。戦闘能力をもたないPCがいる事を鑑み、PC4巴マミは戦闘開始早々に『奥義』(クリティカル)を使用して魔女を『脱落』させる。(フレーバー(本編)的には倒しているがデータ的には第三話の魔女と同一NPCである)
この戦闘の勝者はほぼ自動的にPC4巴マミ。彼女は『プライズ』グリフシードを獲得する。

PC2暁美ほむらシーン。戦闘直後の3人にPC2暁美ほむらが合流する形で開始。
PC2暁美ほむらはのちにPC4巴マミとの戦闘になる可能性を考慮し、彼女の『居所』を獲得する事を選択。同時にPC4巴マミのプレイヤの協力も得て『プライズ』グリフシードをめぐるロールプレイを巧みにまわし、自身の『秘密』に『プライズ』が絡んでいないことをほのめかす試合巧者ぶりを発揮する。

『メインフェイズ』第三サイクル(本編第三話相当)

PC3美樹さやかシーン。登場指定はエキストラ上條恭介。
自身の『秘密』である恋愛感情をロールプレイで描写するシーン。ここでプレイヤは
青「画面に出てこなくていいので『シーン』に出てください」
とNPCキュウべえを追加で登場指定、受理される。のちにNPCキュウべえと戦闘になる可能性を鑑み、『感情』を獲得しておこうという挙動。(PC3→NPC『不信』NPC→PC3『共感』だろう)
青「あとは適当にイチャイチャしておきます」

PC4巴マミシーン。登場指定はPC1鹿目まどか、PC3美樹さやか。
PC4巴マミの過去、魔法少女になった遍歴を描写するシーン。
PC4巴マミはPC1鹿目まどかの『感情』を獲得し、『クライマックスフェイズ』への体制を整える。(PC1→PC4『憧憬』、PC4→PC1『共感』であろう)

PC1鹿目まどかシーン。登場指定はエキストラの家族、NPCキュウべえ。
家族との日常を描写。直前のPC4巴マミの『感情』獲得を受けて、高効率の『情報共有』を発生するべくNPCキュウべえの『秘密』獲得を選択。それは
「魔法少女は死への片道切符である。あなたは奇跡によって望みを叶えることで現世の未練を断った少女たちを、終りのない魔女との戦いに無尽蔵に送り込まなければならない」
PC1鹿目まどかは現在、他PC全てと『感情』を持っているので、この『秘密』は即座に公開情報となる。
紫「あー、いやまあ、このGMだし分かっていたといえばいたんだけど」
青「改めて言われるとグッと来ますね」
黄「キャラ的にはなんてこった状態でしょうけども」
桃「なんてこった……」

PC2暁美ほむらシーン。登場指定はPC4巴マミ。
互いにガンをつけあう演出をロールプレイしながら、『クライマックスフェイズ』への仕上げとして、空いていたPC2、PC4間の感情を埋める挙動。ロールプレイを試行錯誤し、データとしてはプラスの『感情』を互いに獲得する。(PC2→PC4『憧憬』、PC4→PC2『友情』であると思われる)

『クライマックスフェイズ』

登場指定は全PC、NPCキュウべえ、NPC魔女。
遅れて登場した演出のPC2暁美ほむらをPC4巴マミは魔法(忍法相当)で拘束。
紫「(PC4の)表の使命、すっかり忘れてた」
黄「まあ大丈夫でしょう。危なくなったら適当に演出して解きます」
その言葉とは裏腹に、順調に死にフラグをロールプレイしつづけるPC4巴マミ。元々プレイヤ黄がデータに強いうえ、他PC全員からの感情修正が飛びまくり、多少のダメージはあったものの最終的に奥義で倒してしまう。
桃「一人でやっちゃった」
黄「これ、表の使命は達成でOK?」
GM「OKです」
これでセッション終了と思っていたプレイヤをGMの言葉が襲う。
GM「では、魔女の第二段階が襲ってきます。『奥義』使用」
黄以外「ええええええええ」
この攻撃でPC4巴マミの生命点はゼロに。
桃「魔法少女になる! 超なる! 『奥義』(絶対防御)間に合うよね?!」
紫「落ち着け。黄は『死亡』宣言してない。データ的には生きてるから」
青「魔法少女になるのはセッション終わって功績点貰ってからでも遅くないです」
紫「とりあえず『見切り判定』で」

PC4巴マミ死亡がGMとプレイヤ黄が供託した「仕込み」であったことが明かされる。PC2暁美ほむらの拘束が解かれ、戦闘継続。最終的にPC2暁美ほむらは『回想シーン』を使用しないまま魔女を倒す。
この戦闘の勝者はPC2暁美ほむら。彼女は『プライズ』グリフシードを獲得するが、エピローグのロールプレイでいとも簡単にこれを手ばなし、再度アピール。PC2暁美ほむらの『秘密』はGMからの介入により、次セッションに持ち越しとなる。

エピローグ後、PC4巴マミの『秘密』のテキストを熟読していた紫。
紫「志が伝わったと思う人ー」
桃「ハイハイハイ!」
青「超伝わったー」
これでPC4巴マミを含めPC全員の『使命』は達成となり、第一セッション終了。

とまあ、全て妄想。なにやってんだ俺は。
誰か続きやってください。

 

「シュタインズ・ゲート」5bp・Nitro+ / XBOX・PC

「超」のつくネタバレ注意。
未プレイの方は以下のエントリをプレイ後に読むことを強く推奨する。
他作品のネタバレにも微妙に言及している部分があるので、注意されたい。
(特に映画「バタフライ・エフェクト」は決定的ネタバレにつき注意)

PC版も発売され話題に事欠かないノベルゲームタイトル。
XBOX版で発売された当初から話題になり、じわじわと売れ続けている。

面白さは保証済みともいえる本タイトルであるが、メインのシナリオのSF的面白さとはまた別の部分の、マニアックな楽しみを書き連ねてみよう、というのがこのエントリの趣旨。
XBOX版発売当初から散々書かれているだろう内容がほとんどなので、特に目新しい視点を提供するものではない。
さらに、野暮な話といえばその通りなので、細かい部分に拘らない諸氏にはおすすめしない。

  • ループ構造のシナリオにおける、プレイヤとキャラクタの意志の重なり
  • 「こんなのでいいわけがあるか!」(ひぐらしのなく頃に)

    これは本編中盤から終盤にかけてまゆりを救おうとする岡部倫太郎の、行動理念、動機に当たる部分。
    そして、これはそのままプレイヤの感想と一致する。
    どう考えても全くの伏線なしに急速に破壊される日常。明確な理由の提示なしに唐突に殺されてしまうまゆり。
    (言葉は悪いが)反則技でこの心情をプレイヤから引き出しているといえるだろう。ミステリでいうなら、ここで終わっていたら「壁本」レベルの唐突かつ無茶な展開だ。ループ構造をしているからこそこの展開が許されており、だからこそ、「次はうまくやらなければ」という動機に繋がる。
    似た構造(反則的な手法)でプレイヤとキャラクタの動機、心情を重ねようとしている作品が「ひぐらしのなく頃に」だろう。文句のつけようのない完璧なバッドエンド。誰もそれでは納得しないミステリ的悪手。ループ構造にこれを意図的に取り込むことで「そんなんでいいわけがあるか」が自然に出てくる。

  • ループからの脱出そのものではなく、ある人間を助けたい、という動機。
  • 「どうやっても助けられない!」(紫色のクオリア)

    シナリオはループ構造をしているが、それは結果論で、その理由部分がこれ。岡部倫太郎は自分の意志で「やり直し」をしており、納得のいく結果を得るまでいくらでもループを繰り返す覚悟がある。まゆりを助けるためだ。そして、その試みはことごとく失敗する。
    「紫色のクオリア」の主題そのものである。
    「紫色のクオリア」と「シュタインズ・ゲート」がほとんど同時期に発売されているという事実自体がなにか不思議な意図(あるいはシンクロニシティ?)のようなものを感じてしまうが、それはまた別のメタな話。
    「恋はデジャヴ」(作中でも阿万音鈴羽がこれに触れている)「七回死んだ男」「All you need is kill」あたりが著名なループもの作品だが、それらとシュタインズ・ゲート(そして紫色のクオリア)を隔てる決定的な違いが「意図的にループしているか」どうかだろう。
    岡部倫太郎は(ガクは)大切な人間を救うため、ループせざるを得ない。

    この動機はあまりにも有名な名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作に近い。こちらはループではないが、2において別世界線で死んでしまっている父親を救わねばならない主人公の動機と、ほぼ同じといっていいだろう。
    余談だが、シュタインズゲート作中での完成版のタイムマシンのコントロールパネルは、デロリアンに搭載されているものとデザインが同じ。ダルの(そして製作陣の)リスペクトが伺える。

  • すれ違わなければならない、というプレイヤの予想。そして、それを裏切り期待を満足するエンディング。
  • 「これが、シュタインズゲートの選択だよ」(バタフライ・エフェクト)

    上記「助けたい」動機に含められる内容のループ作品、映画「バタフライ・エフェクト」だが、これは別格としたい。
    主人公はヒロインを助けるため、意図的にループを繰り返し、様々な手段を講ずる(もちろんことごとく失敗する)
    最終的に出した結論は「出会わない」ことなのだが、これはまさにシュタインズゲートのトゥルーエンドそのもの。

    映画「バタフライ・エフェクト」の映像特典では、エンディングが3パターン収録されている。知らない人間同士として主人公とヒロインがすれ違う(主人公だけがループを知っている)というエンディングの落しどころについて、監督と助監督がオーディオコメンタリーをつけているのだが

    1「主人公がヒロインを後ろからつける(ストーカーエンド)」
    主人公が学習していない。あと主人公としてそれはどうか、という理由でボツ。

    2「主人公が声を掛け、改めて出会い直す(ハッピー?エンド)」
    これも主人公がなにも学習していない。また悲劇を繰り返すのか、という理由でボツ。

    3「主人公が徹底的に遡り、生まれてくる事自体を拒否する」
    納得はいくのだがあまりにも悲劇的すぎて賛否両論。ディレクターズカット版のエンドになった。

    シュタインズ・ゲートのトゥルーエンドはまさにここに入れられる、第4のエンディングと言ってもいい。各ヒロインのエンディングにおいて言及される「リーディング・シュタイナー」の性質、誰しももつ可能性があるという伏線が、見事に「双方が何故かお互いを認識できてしまう」という第4の解答となっているように思える。
    製作陣がバタフライ・エフェクトをかなり意識している(そして愛している)故の、このトゥルーエンドなのではないだろうか。

     

    「ダライアスバースト」 TAITO/PSP

    12年にわたる空白期間を経て発売されたダライアスシリーズ最新作。

    似たような伝説シリーズ復帰ものとして、鳴り物入りで発売された「サンダーフォース6」がどう見ても非常に残念な出来だったために、その事情を知るシューターからは警戒されていたであろう本作だが、見事にその懸念を打ち破ってくれたといっていいだろう。腕に覚えのあるシューターもそうでない人も十分に楽しめる快作。

    もともとシューティングゲームはジャンルとしての行き詰まり感が叫ばれて久しい。プレイヤのジャンル離れが相当な昔から語られている。特にゲームセンターでの扱いは、ゲームの性質上、インカムの対時間比から真っ先に縮小されるジャンルとまで言われる。

    ジャンル行き詰まり感のさらなる要因の一つともいえるのが、視覚的な「一見様お断り感」だろう。画面を埋め尽くすような弾幕や、複雑な操作系、初見殺しなど、「私にシューティングは無理だ」と思わせるような要素が多い。

    もちろんこれは逆説で、これらの難解な要素を「自分の腕で乗り越えている快感」を得させるためのシステムであり、シューティングとはそういうゲームジャンルなのだともいえる。

    しかし、本作はそういった「非シューター」を自認する人にこそ、是非プレイして欲しいタイトルだ。ジャンルとして今作るべき、あるいはプレイすべきシューティングゲームとは一体何かをひたすらに考え続けた制作陣の、一つの解答がここにあるといっても過言ではない。

    深夜通販風に「でも、シューティングなんだから難しいんでしょう?」という方のために以下に推薦する理由をいくつか列挙してみる。

    自機が固い

    ダライアスシリーズの伝統ともいえるが、とにかく自機(正確にはバリア)が固い。弾丸に触れれば即死、ボムの無敵でそれを回避する、というシステムが非常に多い昨今だが、ダライアスバーストは安心のバリア制。しかも1発だけとかそんなケチな事は言わない。最初から3発の耐久度があり、バリアアイテムをさらに取ることで耐久度を1づつ重ねられる。自機が3機しかなく、ボスの攻撃がいかに過酷でも、8発の被弾に耐えられるとなれば挑む際の心持ちからして違ってくるのではないだろうか。

    視認性が高い

    見えづらい弾幕も、把握出来ないような高速弾もなし。正確にパターンを作らなければ抜けられないような場面もほとんどない。一部ボスに初見殺し的な攻撃はいくつかあるものの、上記の固いバリアも相まってプレイヤ側の学習効率が高く、理不尽な即死はほぼないといっていい。

    進行ルート選択式

    これもダライアスシリーズ伝統。ステージをクリアするごとに二択があり、最終ボスまで複数のルートが存在する。自分にとって楽なステージを進むことができ、1コイン攻略における難易度的な閉塞感を軽減している。だんだんと苦手なステージを攻略していく、という要素も楽しめるだろう。

    こういった要素を聞くと、いわゆるシューターにとってはヌルいゲームになっているのではないか、といった懸念もあるだろうが、バーストというシステムが絶妙にそれを補っている。置きバーストやカウンターバーストは扱いが難しいだけに、うまくいった時の快感はひとしおで、つい狙いたくなる魅力がある。

    BGMも専属バンドを持っているだけあって流石の一言。特に1面ステージ曲は素晴らしく、一聴の価値あり。伝統タイトルを背負っているに相応しい一本。

     

    「数学的にありえない」 アダム・ファウアー/文春文庫

    ハードカバーの時点で表紙を見ていて気になっていたものが文庫化されていたので衝動的に買ってしまい、一気に読了。上下巻分冊。

     

    ハードカバー時に原題「improbable」を目にしており、これが気になっていたメインの要因。この原題を「数学的にありえない」と邦訳した時点で素晴らしい。勝っている、と思った。

    確率論、統計学を教える立場であった主人公が、持病の発作と戦うべき時にポーカーで大負けしてしまい、多大な借金を抱えるどん底から物語がスタート。

    その後、借金取りの手をかわしながら兄弟やコネを使ってなんとか凌いでいるうちに、別系統で語られていた複数の事件が複雑に絡んでくる。

     

    確率論や哲学、量子論などの各種要素が実に巧妙に物語に組み込まれており、それら情報を読者に提示する場面も非常に自然で飽きさせない。別系統で進行している事件に視点がどんどん飛んでいくさまは海外ドラマ「24」を彷彿とするが、それらの別視点の事件が、主人公の見る系統である事件本筋に絡んでくる過程も実に見事。そして不意打ちのように繰り出されるトリックはもはやガード不能技といっていいレベルの破壊力がある。

     

    映像で凄く映えそうな描写も多く、映画で見たい作品。映画化もありえるのではないかと勘繰ってしまう。SF的なアイデアとミステリ的トリックと海外ドラマ的なサスペンス感が見事に同居した傑作。

    「紫色のクオリア」 うえお久光/電撃文庫

    「悪魔のミカタ」の著者が電撃HPに掲載した、イラストレータとのコラボ企画短編を、書き下ろしを含めて一冊の長編にしたもの。

     

    タイトルに含まれているクオリアをはじめとするちょっとした哲学的な要素が、SF設定に実に見事に折り込まれている。基本的に主人公の一人称で物語は進行するが、SF的トリック(あるいはレトリック)でそれが高速に破壊され始めるくだりは圧巻。

    帯の概要にもある「他者がロボットに見える人物」という設定は、どうしても火の鳥の未来編を連想してしまうが、実に順当に(そして表題に忠実に)その予想を裏切ってくれる。そして、そこから導き出される破壊的な展開は、読者が無意識的にしている期待を遥かに凌駕している。

    SF的な理詰めでの展開を見せる本作だが、やはり締めの部分は主人公の動機に行き着く。あまりの速度での理論展開に慣らされてしまった読者は、一瞬これを期待外れと感じてしまうかもしれない。しかし、発生した物語の原点を考えると、最早これ以外ない、といえる完全な締め方である。

     

    ネタバレを避ける為に抽象的な話に終始してしまったが、積極的な興味を持たない人間でさえ一気に引き込むことのできる、非常に力に満ちた作品なので、少しでも気になった向きは是非手にとってもらいたいところ。特にハヤカワSFを読むような人間は必携といえるだろう。損はしない。

    SFとしてもライトノベルとしても、近年稀に見る傑作。

    「MIRROR’S EDGE」 EA/XBOX360

    ついに我が家にもはこまるさんが!

    ネットに繋いでまず最初にやったことは斑鳩体験版のダウンロードでしたが。

    で、表題のミラーズエッジ。ソフマップで安かった+名作だと聞いていたので見かけて本体と一緒にお買い上げ。しかしこれが値段に見合わない大当たりでずっとはまりっぱなし。

    セキュリティ面で情報や荷物は手渡しが最も安全である世の中で、ビルの間を走り抜けて物を届けるランナーという職業となって陰謀を暴くFPSアクション。主人公ナオンがかわいくないとか一時期話題になったりもした様子。

    FPS(一人称視点)であるせいか、やってみると凄い没入度。ゲーム的にはFC初期のマリオやロックマン同様のジャンプアクション、落ちると死ぬ、なわけだが、FPSになる(+リアルに書き込まれたビル群)だけでここまで五感に訴えるものになるとは思わなかった。

    ダッシュ時の風を切る音、シューズがコンクリートを踏みしめる足音やスリップ時の鳴り、主人公の息づかい、受け身時の擦過音と肉体を打つ湿った音、金属面の太陽の照り返し、ジャンプ時のレンズフレア的な視野の狭窄、時折入る無線連絡。

    全てが生々しくリアルで、没入度をいかにプレイヤに与えるかに終始した演出が光る。高い落差から落ちる場面など、内臓が持ち上がるあの感触を錯覚ではないようなレベルで感じるほどだ。

    これほどコンセプトで勝っているゲームも昨今少ないのではないだろうか。人間、誰しも高いところは怖いし、風を切るように走れれば気持ちいいものだ。

    かようなコンセプトで強く五感に訴えてくるだけに、細かいアラが多少残念ではある。

    Bボタン長押しで次の目的地点へナビゲートしてくれ、そこを通過すれば次の目的地点、という仕様になっているが、たまに「目前の障害を超えられていないのに、かなり向こう側に目的地点が設定されていてあらぬ方向を向いてしまう」というのが一番気になった。「そこへいくためにどことおるのよ?」といった気分に。

    おそらく、そこまでいくための経路が複数あるからではないかと推測するが、それならそれで最寄りの目標点を指し示してほしかったところだ。

    多少理不尽に見えてもおかしくないほどの難度も気になるが、これはまあ上手くいったときの達成感とトレードオフのようなものなので仕方のないところだろうか。敵兵が集まる鉄火場ともなると1、2回の行動ミスで集中砲火をもらって即死というなんとも容赦のない設定だ。

    しかし、それだけに上手くいったときの爽快感、映画的絵面は素晴らしいものがある。

    壁走りから敵に飛び蹴り>武装解除>奪ったライフルで続敵に発砲>かなぐりすててダッシュ>ジャンプ

    などが決まったときにはあまりの美しさと爽快感に脳汁出ること請け合い。

    そのあまりの没入感の高さから、いわゆる「3D酔い」を誘発しやすいところがネックではあるが、そういった酔いと縁がないなら是非遊ぶべきタイトルだといえる。

     

    「君の望む死に方」 石持浅海/祥伝社新書(ノン・ノベル)

    読了。

    「殺人事件が起きるまで」を非常に詳細に描いている、ミステリとしてはかなりの異色作。前作として位置づけられている「扉は閉ざされたまま」の人物が出てきてはいるが、物語としては完全に別のものになっているので、これを最初読んだとしても違和感はないだろう。相変わらずこの作者の描く登場人物の動機は変わっていて、「犯人に殺される為に状況を作る主人公」という設定。この一見非常識ともいえる動機を、巧く状況を設定する事によって、ある程度自然に見せる事に成功している。主人公の視点からの描写も見事で、「犯人は”主人公はこう考えるだろう”と考えるはずだ」といった頭脳戦的な展開が実に読ませる。

     

    事件が起きていない以上、解決に向かっているというカタルシスはないし、いわゆるミステリ的なトリックも配されていないが、視点、時系列、殺人の意志などが非常に美しく組み合わせられている。さらに、ミステリとしての構造も面白く、「読者が与えられた情報を元に犯人を推理する」形ではなく、「与えられた情報を元に、探偵役がいかにして犯人を推理するに至ったかを推理する」というメタ構造的なミステリになっている。おそらく、そのミステリ部分を意識せずに読んだとしても、サスペンス的に面白く読めてしまうはずだ。この完成度には参った。

     

    ミステリを読む人にも、そうでない人にも勧められる秀作。面白かった。

    「Fake」 五十嵐貴久/幻冬舎文庫

    謳い文句に「日本版スティング」とあったのでとりあえず的に。

    よくも悪くも本当に日本版スティング。最終的な騙し部分は物理トリックとして少し無理がある気もするが、そもそもミステリとして書かれている訳ではないし、伏線もきっちりしているので許容範囲か。インパクトを与える事には成功していると思う。こういったイカサマ系の常として、「情報の差を得ている」という緊張感が継続して書かれている。メインの事件に差しかかるまでの、いわゆる発端の事件にも緊張感のあるシチュエーションが使われており、全体的に上手く仕上がっている。

    厚みからしても結構な分量があるはずだが、それを一息に読ませてしまう引きの強さは素晴らしい。キャラ立てもしっかりしており、続きものとしても上手く纏められるだろう。一定以上は確実に楽しめる良作。