「探偵 神宮寺三郎DS きえないこころ」ArkSystemWorks/DS
再録分も含めて一通りクリア。
携帯コンテンツが初出であるシナリオをまとめ、新作である表題作「きえないこころ」を加えたボリュームのある一本。前作「いにしえの記憶」と基本ラインは変わらず、再録コンテンツがほぼ半分を占める。個人的には全て初見だったので充分な満足度があった。既に携帯版をプレイしている人にとっては評価は変わるかもしれない。
システムとしては基本総当たり的なADVだが、これは歴代そうなので慣れの部類かもしれない。とはいえ、もう少し新しい要素が欲しかったという気持ちもある。ところどころシステム的に洗練されていない部分もあるが、進行上とくに差し障りはなく許容範囲。
やはり表題作「きえないこころ」がシナリオ的に頭一つ抜けている感があった。良くいえばリアルな探偵観、悪くいえば冗長な依頼をこなすところからスタートするが、キャラ立てがかなりしっかりしており、関係者全員が意志を持った人間であるという表現がよく生きている。当然、事件もそれにあわせた複雑な様相を呈する。推理する際に適度に混じってくる、排除すべきノイズの要素が、リアルな探偵観をさらに強調している。ミステリ的な暗号がメインに用意されてはいるが、神宮寺という作品は過去代々ミステリではない。所々にはさまれる謎解きの要素も、本気で考えなければ解けないような厳しい難度ではない。(必要なかったのでは? と思う要素も数カ所あったが)
全てがドラマを完成させるために用意されている。非常に綺麗に纏まったシナリオだった。個人的なシリーズに対する思い入れを差し引いたとしてもなお評価できる佳作。