2009
11月 15

ハードカバーの時点で表紙を見ていて気になっていたものが文庫化されていたので衝動的に買ってしまい、一気に読了。上下巻分冊。
 
ハードカバー時に原題「improbable」を目にしており、これが気になっていたメインの要因。この原題を「数学的にありえない」と邦訳した時点で素晴らしい。勝っている、と思った。
確率論、統計学を教える立場であった主人公が、持病の発作と戦うべき時にポーカーで大負けしてしまい、多大な借金を抱えるどん底から物語がスタート。
その後、借金取りの手をかわしながら兄弟やコネを使ってなんとか凌いでいるうちに、別系統で語られていた複数の事件が複雑に絡んでくる。
 
確率論や哲学、量子論などの各種要素が実に巧妙に物語に組み込まれており、それら情報を読者に提示する場面も非常に自然で飽きさせない。別系統で進行している事件に視点がどんどん飛んでいくさまは海外ドラマ「24」を彷彿とするが、それらの別視点の事件が、主人公の見る系統である事件本筋に絡んでくる過程も実に見事。そして不意打ちのように繰り出されるトリックはもはやガード不能技といっていいレベルの破壊力がある。
 
映像で凄く映えそうな描写も多く、映画で見たい作品。映画化もありえるのではないかと勘繰ってしまう。SF的なアイデアとミステリ的トリックと海外ドラマ的なサスペンス感が見事に同居した傑作。